42.3.20170714
概要
openSUSE Leap はお使いの PC やラップトップ、サーバなどで動作する、 Linux ベースの自由なオペレーティングシステムです。 Web の閲覧や電子メール/写真の管理、オフィス作業やビデオ/音楽の再生などを行なうことができます。お楽しみください!
リリースノートは定期的に更新されています。最新の情報を読むには、 https://doc.opensuse.org/release-notes にあるオンライン版をご覧ください。必要に応じて英語版は更新されますが、翻訳版については一時的に翻訳が追いついていないことがありますので、あらかじめご了承ください。
openSUSE Leap の旧バージョンからアップグレードした場合は、下記に示す旧バージョンのリリースノートもお読みください: http://ja.opensuse.org/openSUSE:Release_Notes
プロジェクトに関する情報は、 https://www.opensuse.org をお読みください。
本リリースに対してバグを報告する際は、 openSUSE の提供する Bugzilla をお使いください。詳しくは https://ja.opensuse.org/%E3%83%90%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88 をお読みください。
本章には、インストールに関連する説明が書かれています。アップグレードに関する詳しい手順については、下記で公開されている文書をお読みください: https://doc.opensuse.org/documentation/leap/startup/html/book.opensuse.startup/part.basics.html
最小インストールのパターンを選択してインストールした際、サイズを肥大化させてしまう様々な推奨パッケージをインストールしないようにするため、不要なパッケージに対して矛盾を設定し、インストールを防ぐためのパターンがインストールされます。このパターンは patterns-openSUSE-minimal_base-conflicts
という名称で、システムのインストール後に削除することもできます。
また、最小構成でインストールすると、既定でファイアウオールは無効化されます。必要であれば SuSEfirewall2
をインストールしてください。
UEFI (Unified Extensible Firmware Interface) を利用して起動するシステムに openSUSE をインストールする場合、事前に製造元が推奨するファームウエア更新を必ずチェックし、可能であればインストールしておくことを強くお勧めします。 Windows 8 がプレインストールされているマシンの場合、お使いのシステムが UEFI である可能性が高いものと思われます。
背景 UEFI のファームウエアによっては、 UEFI のストレージ領域に多くのデータが書き込まれることで、起動に失敗してしまうバグを抱えています。もちろんこれはバグであるため、どれだけ 「多くの」 データを書き込むことで問題を発生させるのかは、誰にもわかりません。
openSUSE では、 OS を起動するのに最低限必要となるデータ (UEFI に対して、 openSUSE のブートローダの場所を示すための情報) しか書き込まないようにすることで、このバグの発生を最小化しています。 Linux カーネルのオリジナル版では、 UEFI のストレージ領域に起動やクラッシュに関する情報を書き込む機能 (pstore
) がありますが、既定では無効化しています。ただし、バグである都合上、ハードウエアの製造元が推奨するファームウエア更新については、必ずインストールしておくことをお勧めします。
EFI/UEFI の仕様には、新しい形式のパーティションテーブル GPT (GUID パーティションテーブル) が定義されています。この新しい方式では、ユニークな GUID (識別子; 32 桁の 16 進数で表わされる 128 ビットの値) を利用してデバイスとパーティション種別を識別します。
これに加えて、 UEFI の仕様では古い MBR (MS-DOS) 形式のパーティションテーブルにも対応しています。 Linux のブートローダ (ELILO, GRUB 2) では、これらの古い形式のパーティションに対して、自動的に GUID を割り当ててファームウエア内に書き込もうとします。この場合、 GUID は頻繁に変更されるものであるため、ファームウエアへの再書き込みも頻繁に発生することになります。この再書き込みには 2 つの操作、具体的には古い項目の削除と、それを置き換えるための新しい項目の作成が含まれます。
また、新しいファームウエアには、削除された項目を収集して古い項目用に確保したメモリを解放する、ガーベージコレクタ機能が用意されています。ファームウエアに不具合があると、これらの古い項目を収集できなかったり、メモリを解放しなかったりする場合があり、これにより起動が不可能になる場合があります。
このような問題が発生した場合は、古い MBR 形式のパーティションを GPT 形式のパーティションに更新して、問題を回避してください。
openSUSE Leap 42.3 では、 .run
シェルスクリプトアーカイブを利用して手作業で nVidia ドライバをインストールする場合、あらかじめ drm-kmp-default パッケージをアンインストールしておく必要があります:
zypper rm drm-kmp-default
nVidia が提供する RPM をインストールする場合は、このような問題は発生しません。これは、 RPM パッケージが提供するドライバをインストールする際に、自動的に drm-kmp-default が置き換えられるようになっているためです。
なお、後日 nVidia ドライバをアンインストールする場合は、忘れずに drm-kmp-default パッケージをインストールしてください。
詳しくは https://bugzilla.suse.com/show_bug.cgi?id=1044816 をお読みください。
本章には、アップグレードに関する説明が書かれています。詳しいアップグレード手順については、下記で公開されている文書をお読みください: https://doc.opensuse.org/documentation/leap/startup/html/book.opensuse.startup/cha.update.osuse.html
openSUSE Leap 42.2 と比較すると、本バージョンでは下記のパッケージが廃止または置換されています:
ldapjdk: Fails to build on 42.3.
castor: Fails to build on 42.3.
fontinfo: 安定したパッケージとしてはリリースされなくなりました。
plasma5-mediacenter: バージョン 5.7.3 で提供元が公開を停止しています。
perl-Mojolicious-Plugin-Bootstrap3: 提供元側でパッケージが廃止され、機能は perl-Mojolicious-Plugin-AssetPack で置き換えられています。
qtsharp: Fails to build on 42.3.
rubygem-mysql: Replaced by rubygem-mysql2.
openSUSE Leap 42.2 では、 X11 synaptics ドライバ (パッケージ xf86-input-synaptics) は既定ではインストールされませんでした (詳しくは 「GNOME で利用している場合、 Synaptics X ドライバがタッチパッドの操作性を悪化させてしまう」 をお読みください) 。しかしながら KDE Plasma では、 libibput と呼ばれる置換ドライバに対して、限定的な設定オプションしか提供していません。
openSUSE Leap 42.3 以降では、 KDE Plasma デスクトップをインストールすることで、 xf86-input-synaptics パッケージもインストールされるようになります (plasma5-workspace パッケージ側で推奨が設定されています) 。
openSUSE Leap 42.3 では、既定ではデスクトップ検索はファイル名のみを索引対象とし、ファイルの内容については索引対象とはしなくなりました。
以前のバージョンではファイルの内容が索引に含まれていましたが、その時点での既定値は保存されていないため、これを含めたい場合は、再度手作業で有効化する必要があります。具体的には下記の手順を実施します:
メインメニューまたは krunner を利用して、
を開きます。を押します。
のチェックボックスにチェックを入れます。
を押します。
openSUSE Leap 42.3 では、 Shorewall が最新の安定版である 5.1 リリースにアップグレードされています。アップグレードの際、 shorewall と shorewall6 は、設定ファイルのアップグレードが必要である旨の警告を表示します。
ドキュメンテーションは、 http://shorewall.net/ で公開されています。
手順1 Shorewall のアップグレード
コンソールセッションを起動して root になった後、下記のように実行します:
root #
shorewall update -a /etc/shorewall
ツールがうまく動作しない場合は、設定ファイルを手作業で編集して新しい形式にすることもできます。これは非常に複雑な設定の場合にのみ発生します。
下記のように実行することで、編集後の設定の検証とテストを行なうことができます:
root #
shorewall try /etc/shorewall
全て問題なく動作したことを確認したら、コンピュータを再起動するか、下記のようにしてサービスを再起動してください:
root #
systemctl restart shorewall.service
shorewall6 のアップグレード作業は、 手順1「Shorewall のアップグレード」 で説明している shorewall の作業と同じです。ただし、手順内の
openSUSE Leap 42.1 と比較すると、本バージョンでは下記のパッケージが廃止または置換されています:
arista: transmageddon に置き換えられています。
cadabra: 構築対象から外されています。後継である Cadabra 2 も、まだ不安定な状態です。
dropbear: openssh と比べて特に大きな利点がなくなってしまったため、削除されています。
emerillon: gnome-maps に置き換えられています。
gnome-system-log: gnome-logs に置き換えられています。
hawk: hawk2 に置き換えられています。
ksnapshot: spectacle に置き換えられています。
labplot: labplot は Qt5 版に置き換えられ、 labplot-kf5 という名称になっています。 openSUSE Leap 42.1 で labplot をインストールしている環境から更新する場合は、 labplot-kf5 が自動的にインストールされます。
nodejs: nodejs4 に置き換えられています。
psi: psi+ に置き換えられています。
python-moin: moinmoin-wiki に置き換えられています。こちらは純粋にパッケージ名だけを変更しただけであり、バージョンアップグレードではありません。そのため、その場で置き換えて使用できるはずのものです。
ungifsicle: gifsicle に置き換えられています。
xchat: hexchat に置き換えられています。
/var/cache
には、それぞれの更新に対応する様々なバージョンの RPM パッケージや、 Zypper のキャッシュなど、頻繁に書き換えられるデータが多数存在しています。スナップショットのように冗長性を確保している環境下で、このように頻繁な更新が発生してしまうと、スナップショットのディスク領域が容易に肥大化してしまいます。
この問題を解決するため、 /var/cache
を個別のサブボリュームに配置するようにしました。 openSUSE Leap 42.3 を新規にインストールした場合、この配置は自動的に行なわれます。既存のルートファイルシステムを本件のように変更したい場合は、下記のような手順を実施してください:
まずはルートデバイスに対応するデバイス名 (たとえば/dev/sda2
や /dev/sda3
など) を判断します:
df /
次に、他の全てのサブボリュームに対する親サブボリュームを判断します。 openSUSE 13.2 の場合、 @
という名前のサブボリュームです。 @
という名前のサブボリュームが存在するかどうかを判断するには、下記のようにします:
btrfs subvolume list / | grep '@'
上記のコマンドを実行しても何も出力されない場合、 @
という名前のサブボリュームが存在していないことを表わします。このような場合、古い openSUSE のバージョンで利用されていた、サブボリューム ID 5 を利用することができます。
次に必要なサブボリュームをマウントします。
@
という名前のサブボリュームが存在している場合は、下記のようにして一時的なマウントポイント内にマウントします:
mount <ルートデバイス> -o subvol=@ /mnt
@
という名前のサブボリュームが無い場合は、代わりにサブボリューム ID 5 をマウントします:
mount <ルートデバイス> -o subvolid=5 /mnt
ここまでの作業で、 /var/cache
ディレクトリが /mnt/var/cache
に現われるようになります。 データを失わないようにするには、まずは下記のようにして移動します:
mv /mnt/var/cache /mnt/var/cache.old
次に新しいサブボリュームを作成します:
btrfs subvol create /mnt/var/cache
あとは /var/cache.old
に移動しておいたデータを、新しく作成した場所に移動しなおします:
mv /var/cache.old/* /mnt/var/cache
もしくは、下記のように実行してもかまいません:
mv /var/cache/* /mnt/var/cache/
古いディレクトリ /mnt/var/cache.old
を削除します:
rm -rf /mnt/var/cache.old
一時的なマウントポイントに存在しているサブボリュームのマウントを解除します:
umount /mnt
/etc/fstab
内に、新しく作成した /var/cache
サブボリュームの項目を追加します。既存のサブボリュームの項目を雛型にして追加してください。ただし、 UUID (ルートファイルシステムの UUID) については変更せず、サブボリュームの名前とマウントポイント (/var/cache
) のみを変更してください。
最後に /etc/fstab
内に設定した新しいサブボリュームをマウントします:
mount /var/cache
GNOME Keyring における GPG エージェントとの統合機能は削除されました。そのため、 GNOME Keyring を GPG 鍵の管理として使用することはできなくなっています。 GPG 鍵を管理したい場合は、コマンドラインの gpg ツールをお使いください。
openSUSE Leap 42.1 では、 Synaptics X ドライバ (パッケージ xf86-input-synaptics) が既定でインストールされますが、 libinput のドライバ (パッケージ xf86-input-libinput) より低い優先度に設定されてしまっています。
openSUSE Leap 42.3 では、下記のようになります:
Synaptics X ドライバは既定ではインストールされなくなっています。
Synaptics X ドライバがインストールされている場合は、任意の他のタッチパッドデバイスより優先して動作します。
GNOME 環境では Synaptics X ドライバはサポートされなくなりました。言い換えると、Synaptics タッチパッドを利用しても、基本的なマウス機能の範囲のみを設定することができます。
Synaptics タッチパッドをご利用の場合で、 Synaptics ドライバに固有の設定を多数実施している場合を除き、システムからパッケージを削除してください:
sudo zypper rm xf86-input-synaptics
AArch64 プラットフォームを利用した openSUSE Leap 42.1 では、既定のページサイズが 64 kB に設定されていました。 openSUSE Leap 42.3 ではそれが 4 kB に変更されています。これにより、従来のバージョンで利用していたスワップ領域と btrfs ファイルシステムが利用できなくなってしまいます。
AArch64 で openSUSE Leap 42.1 をご利用の場合は、 openSUSE Leap 42.3 をアップグレードではなく新規インストールでお使いいただくことをお勧めします。
Compaq/HP Smart Array (CCISS) コントローラ (cciss.ko
) は、既定では特定のコントローラに対応しなくなっています。そのため、 openSUSE Leap 42.3 のカーネルでルートディスクを検出できない場合があります。
このようなシステムの場合、 CCISS ドライバに設定を行ない従来の動作に戻すことで、コントローラが検出できるようになります。従来の動作に戻すには、カーネルパラメータ cciss.cciss_allow_hpsa=0
を追加してください。
本章では、他の分類に属さない openSUSE Leap 42.3 関連の一般的な問題を説明しています。
KDE PIM 4.x は提供元である KDE プロジェクトでは既にサポートが提供されていませんが、 openSUSE Leap 42.2 ではユーザの混乱を防ぐために KDE PIM 5 と共に従来どおり提供され、移行を容易にしていました。
openSUSE Leap 42.3 では KDE PIM 4.x のスタックが廃止されており、現在提供元でサポートされている KDE PIM 5 のみが含まれています。
openSUSE Leap 42.3 に同梱されているバージョンの KDE ファイルマネージャ Dolphin および Konqueror では、 「拡張パーミッション」 (GID, 「スティッキー」 ビット) を設定することができません。また、 Dolphin のパーミッションダイアログで を押して閉じると、既存の拡張パーミッションビットを消去してしまいます。
このような問題を回避するには、 chmod (コマンドライン) のみをお使いのうえ、必要な作業を行なってください。
SDDM や LightDM など、 GDM 以外のログインマネージャを利用してログインし、 GNOME Shell を利用した場合、画面をブランクにしたりロックしたりすることができなくなってしまいます。また、ログアウトせずにユーザを切り替える機能も、動作しなくなってしまいます。
GNOME Shell で画面をロックできるようにするには、下記のようにしてログインマネージャを GDM に切り替えます:
まずは gdm パッケージがインストールされていることを確認します。
次に YaST を開いて、
を開きます。+ + を選択します。
表示されたテキストボックスに gdm
と入力します。保存を行なうため、 を押します。
最後にシステムを再起動してください。
まずはメディア内の README
文書をお読みください。
また、特定のパッケージに対する詳細な変更点を RPM パッケージから表示するには、下記のコマンドを実行します:
rpm --changelog -qp ファイル名
.rpm
ファイル名
の箇所を RPM の名前に置き換えてお使いください。
また、メディアのルートディレクトリには ChangeLog
ファイルがあります。ここには、更新されたパッケージに対する全ての変更点が時系列順に並んでいます。
そのほか、 メディアの docu
ディレクトリには、さらに詳しい情報があります。
追加のドキュメンテーションや更新されたドキュメンテーションをお読みになりたい場合は、 https://doc.opensuse.org/ をご覧ください。
また、 openSUSE からの最新の製品ニュースについては、 https://www.opensuse.org をご覧ください。
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openSUSE チームより。